第2章 物語の始まりはーー
(act.01‐私を知らないくせに‐)
ご機嫌よう皆さま、如何お過ごしかしら?
私(わたくし)、高津芹佳(15歳)と申します。
とか真面目に言ってみたのには理由があります、実はっーー、
「っ、高津さんっ!」
『…はい?』
あ、そう言えば私、お呼び出しをされて裏門にいたんだわ。
『来てくれてありがとうございます』
「いいえ、それでお話って?」
この人確か、隣りの男子高の…誰だっけ?
記憶的には見覚えだけはあるんだけどなぁ。
『俺、隣りの男子高の清水謙太って言います!』
「…はぁ、『おっ、俺…あなたが好きなんですっ!!』
あーら、まぁ…これで何度目だべか、勘違いした愛の告白。
「ーーありがとう。でも、私のどこを好きになって下さったの?」
『その、綺麗で頭も良くてっ、誰にでも平等に優しいとこ「おととい来やがって下さる?」
『…え?』
「あーら、聞こえませんでした?“おととい来やがれ”と言ったんですわ」
『高津、さん?』
「上辺だけしか見てないくせに、あなたの理想を押し付けないでいただける?…私、あなたが思ってるほど優しくないの」
『あっ、あのっ…』
「二度と私に声掛けんな」
私は満面笑顔を浮かべるとそう言い放って、その場を後にした。
「ったく、私の何を知って『芹佳!やっと見つけたわ』
「あ、紗耶」
『…芹佳、また振られたの?』
「紗耶。いや、おかしいから。あの人と付き合ってるわけでもないのに何で振られなきゃならんの。しかもまたって何」
『ノリ、もしくはその場の勢い』
「さいですか」
『って言うか、あの男子泣いてない?』
「知らなーい。勝手に向こうが理想の私を作り上げて盛り上がってたんだよ、誰にでも平等に優しいって何ソレ、女神様?」