第5章 これが私たちの世界です
(act.01‐人生最大の危機‐)
一大イベントを控えた日の朝、教室に着けば、私の席には
隣のクラスで親友の紗耶が座っていて、机に伏せていた。
「おはよ、紗耶。つか、君の席もクラスもここじゃなかろう」
『…芹佳、』
「何、どした?」
『あたしたちって親友よね』
「え、そうだと思『なら今すぐあたしを殺して』
…ーー紗耶サンご乱心んんーーっ!!!
私はどうしたらいいの!?
「けっ、景吾に電話っ!?国光誘拐!?侑士変態!!?」
『取り敢えず落ち着きなさい。電話も誘拐もしなくていい。ついでに侑士が変態は大正解』
「落ち着けと言うなら、いきなり物騒な事言うのやめてよ」
『芹佳。あたし、今日から一ヶ月くらい病気になるわ。しかもすんごく重い病気』
「なるわ、ってなろうと思ってなれるモンじゃな、『あたしなら可能よ』
あ、紗耶が言うとやれそうな気がする…って違うから。
「何で急に。大体1ヶ月後には王子たちの居る盟星学園と合同のダンス…」
そこまで言って、私は脳内の真っ当な引き出しから
ここ2年分のダンスパーティーの記憶を引っ張り出す。
暫く思い返してみるも、どーうしても
私が思い出したい紗耶の“ある姿”だけが出て来ない。
こう見えても、私は記憶力がいいんだい。
「紗耶、私アナタにとぉーっても聞きたい事があるんだけど」
『黙秘け「無効」
『何て理不尽な子なの』
決してアンタには言われたくない、マジで。
「去年、一昨年…踊ってる紗耶を見た覚えがないんだけど」
『気のせいでしょ』
「アンタ、この2年…ダンス一回も踊らなかったね?」
『なっ、何を根拠に…っ!』
うっわ、何て分かりやすいの沙耶、色々と心配になるわ。
しかし、ここまで動揺を表面に出すとは珍しいね。