• テキストサイズ

DREAM or REAL【テニスの王子様】

第4章 幸せな日々よ永遠に



私は出掛ける準備をしてうーん、と一人唸ると頭を悩ませた。

まあ、私が一人で勝手に悩んだところでどうにもならないんだけど。



「…私に…何か、できるかな」



なんて、私にできることがあるなら何でもしたい所だけど、

紗耶はソレを望まないし、それ以前にあまり相談すらしてくれない。

彼女が相談してくれなきゃ何も進まないことも、解決しないことも、

全てわかってるのに、我慢できずに踏み込みたくなる。

だけど、優しい彼女は私を巻き込みたくないのだとそれも分かるから、

親友としてどうにもできないことが歯がゆくて、それが少しだけ悲しい。



「…ちょっと早く着いちゃった」



紗耶の住むマンションの下に辿り着くと、持ってた大量の荷物を置き

ポケットに手をつっこみ、壁に背中を預けてしゃがみ込んだ。

しばらくして、待ち合わせ時間よりは数分早く紗耶が降りてきた。



『…ーーお待たせ、芹佳』

「紗耶ー、遅いよ。この寒さで私のタマのような肌が『さ、逝きましょ』

「だから漢字が違『気のせいよ』

「…も、申し訳ありませんでした」

『ふふ、何を謝ってるのかしら?』

「寝てる所を起こしてすみませんでした」

『気にしてないわ。荷物、半分持つ』



私の手にあった大量の荷物を半分受け取って紗耶は歩き出す。

その時、階段から男の子がひょこっと顔を覗かせ、声変わり前の高音が響いた。



『ーーお姉ちゃん!財布忘れてるよー!』

『…あら本当』



パタパタと階段を掛け降りて、男の子が紗耶に財布を差し出した。



『ありがと、アキ』

「アキくん、久し振りー」

『芹佳ちゃん久し振りー』



私が両手を広げれば、嬉しそうに飛び込んできてぎゅーっと抱き付いてくれる。


/ 120ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp