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DREAM or REAL【テニスの王子様】

第1章 この出会いに感謝をしたい



(act.01‐有名財閥の一人娘‐)


高峰(超名門お嬢様学校)学園中等部に入学して1ヶ月が経った。

元々、人と接することが苦手だった私は

不自然にならないように長く伸ばした前髪で顔を隠して、

極力、他人との関わりを避けて過ごしてた。



『ねぇ、あの子でしょ?高津財閥の一人娘って』



私を示す言葉は“高津財閥の一人娘”。

その一言で括られる事が酷く苦痛だった。

私は、“芹佳”って言う一人の人間なのに、って。



『…ふーん、あんまり冴えない子なのね』

『そうね。何か暗そうで近寄りたくない感じですわ』



…あー超うっざい、近寄ってくれなくて結構ですマジで。

私だって、好き好んでアンタ等に関わりたくないッス。



『今日の課程はコレで終わりですが、寄り道しないで帰るように』

『高津さん、また明日』

「…えぇ」



丁寧な言葉で自分を偽って、楽しくもないのに

笑顔を浮かべて、そんな、自分自身に反吐が出る。



「ーーご機嫌よう」



一日一日の授業は本当に面倒くさくて。

たまに、本気で学校を休みたいとも思うが、家柄上そうも行かない。

だけど、あの家は息苦しくて少しでも居たくなくて。

そんな私には、学校が終わると決まって訪れる場所がある。

その場所とはーー…



「こんにちはー、また来ちゃいましたー」



カラランッ、と扉に備え付けられた小さな鐘が音を立てた。



『あら、芹佳ちゃん。いらっしゃい』



そう、この喫茶店だ。

1年くらい前からここの紅茶の味が気に入って以来、

ほぼ毎日(少なくても3日に1回)と言っていい程通っている。

大きなお店じゃないけど、でも、マスターの睦子さんが優しくて温かくて、

唯一、私が私で居られる場所だからこのお店が大好きなのだ。



『はい芹佳ちゃん、いつものアップルティー。…何かあった?』

「え!?」


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