第10章 番外編
「…わ、悪い!けどお前の方が悪いんだからな!」
取り敢えず、俺はソイツの横を通って体育倉庫を飛び出すと
落とした鞄を引っ掴んで校門の方へと全力で走り…
「ーーぎゃあァァァァ!!!」
追っ掛けてくる!超嬉しそうな顔して追っ掛けてくる!!
変態か!アイツ変態なんか!!
下半身蹴られて喜ぶとかマゾだ!ド変態だあぁ!!
「来るなぁああぁぁーーーっ!!!」
テニス部で鍛えた脚力ナメンナヨ!
俺が全力で校門目掛けて走れば目の前には見知った女の子二人。
『おーい、ブンちゃーん』
取り敢えず、芹佳の横を通過して
その先の紗耶の背中に姿を隠した。
『…何の真似よブン太』
「助けて、マジで」
女の背中に隠れるのが情けない、何て言ってられん。
アイツマジ何なの、本気で怖ぇ。
『芹佳が呼んでるわよ』
「…一緒に行こうぜ、紗耶」
『嫌よ、何であたしが』
「本気でお願いします、紗耶様」
『あんなムサイ男共が居る所なんて行きたくない』
本気で嫌がる紗耶の背中を押して芹佳の居る場所まで行くと
俺は二人の肩を引き寄せその後ろに隠れた。
『何、ブンちゃん。そんなに私にたち会いたかったの?』
『会いたかった。二人に超会いたかった。だからアイツ何とかして』
『『アイツ?』』
二人の疑問に頷いてアイツを指差せば、
“あぁ、また”と不二が苦笑を浮かべた。
芹佳と紗耶の間から軽く顔を覗かせれば
クラスメイトのソイツは超、満面笑顔を浮かべてた。
『…ブン太。アンタこの人に何したの』
『悩殺したの?私の王子の分際で!?』
「何言ってんの、お前ら。どう見ても俺の方が被害者だろぃ!?」
『被害者だなんて酷い言い方するんだなー。あんなに激しい時間を過ごしたのに俺の愛は伝わってないの?』
何をほざいた事をおっしゃるんですか。
誰がいつ、お前と熱い時間を過ごしたってんだ。