第9章 after story
(act.02‐DREAM or REAL‐)
『だったらっ「でもね、この結婚は…私が“高津の一人娘”として生まれた運命だから、逆らえない」
本当は、婚約が決まった“2年前”からいつだって逃げ出したかったの。
この“高津”から、“逃げられない運命”から。
でも、私をこの世界に産んでくれた二人には感謝してるから、
それがどんな形であれ、恩返しになればいいと思ったのも事実。
『馬鹿ね、芹佳は…自分の気持ち殺してまで、この運命を受け入れると言うの?』
「うん。精一杯、私のこれからの人生を掛けてあの人を愛して行こうと思う。……ただ、少しだけ肩貸して、紗耶」
私は、そう言葉を零して
これから先も付き合って行くだろう親友に抱き付くと
今までずっと我慢していた涙を惜しみなく零した。
「…本当に、本当に周助が好きだったの…きっと、一生に一度の恋だと思ったわ…」
『そうね、』
「何度も願った、周助がこの世界の人間なら、と…」
『…うん』
ねぇ、周助?
あなたたちの世界に存在する《DREAM or REAL》はハッピーエンドなのかしら。
もしもそうなら、きっときっとーー、
『…ねぇ、芹佳…シリアスなこの雰囲気ブチ壊すようなこと言ってもいい?』
「…な、に?」
『あたしたちの身体、何か光ってるんだけど…』
紗耶にそう言われて、自分の身体に視線を落とすと
…私たちは二人して金色の光に包まれていて、
ーー次の瞬間、突然の浮遊感が私たちを襲った。
「え、なっ、何!?」
『わっ、分かんないわよっ!!』
長く続く浮遊感に、恐怖からか強く目をつぶる。
何なの、本当に!って言うか、落ちるなら早く落ちてよ!
…その願いが通じたのか、ピタリ、と浮遊感は止み
ちゃんとした地へと足を付けた。
『…嘘、だろぃ?』
『…って言うか、何でウェディングドレスなんスか!?』
『驚いた、な』
『ホンマ、夢やないの?』