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炎柱

第14章 お見合い




ー…


先程の誓いはなんだったのか。

美玖の頬に口付けるだけのつもりが、
結局、止まらなくなってしまった。


ずいぶんと長いこと、
美玖の唇の感触を味わっていた。


時折、美玖の口から、
悩ましげな吐息や、声が漏れ聞こえてくる。


杏寿郎は、口付けをしたまま、
だんだんと美玖に覆い被さり、
畳の上へと組み敷いている格好になった。


…っ
きょ…杏寿郎…っ


なんだ?


あの、そろそろ、帰らないと…っ


…いやだ。


美玖の言葉を遮り、
再度、唇を啄むように吸い付く。


もう少し、美玖とこうしていたい。


〜〜!!
で、でも、もう日が…っ


杏寿郎は外へと目を向ける。

既に、日が沈みかかっていた。


……。
ふっ…残念だが仕方ないな。

美玖、家まで送って行こう。


そう言うと、杏寿郎は、
美玖を横抱きにして立ち上がる。

そして、耳元に顔を寄せ、

続きは…また今度、だな。


そうささやくと美玖の手を取り、
二人で帰路についた。


外はすっかり暗くなり冷えていたが、
二人の心の中はとても暖かい。

まるで、いきなり春が訪れたかのように。

月に照らされた二人の影は
ぴったりと寄り添い続けていた。



fin



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