第10章 継子 続
ー…
日が、傾き始めた。
一刻ほど、経った頃だろうか。
…そろそろ、行かなくては。
美玖に視線を落とし、
最後に声を掛ける。
美玖!
今日も、君の声は聞けなかったが…
そろそろ日が落ちる。
夜になれば、鬼が現れる!
…俺は、向かわねばならない!
またすぐに会いに来る!
それまで、待っていてくれ!
そう声をかけ、
立ち上がった時だった。
カサッ…
何か、擦れるような音を立てる布団。
そして、
……し…はん…?
美玖の口が動いた。
…!!
美玖!!
そうだ!俺だ!
煉獄杏寿郎だ!!
しは…ん…
わたし、ちゃんと、
鬼を…斬れました…か…?
継子と…して…
役目を…果たせた…でしょう…か…?
堪らず、美玖に覆い被さり、
そっと頭に手を添える。
…っ
ああ!美玖は、
立派に、己が責務を全うした…!
鬼の頸を斬っていた!
俺が見たんだ!間違いない!
街の者は、皆、無事だった…!!
俺の言葉を聞き終えると、
美玖は目を細めて笑った。