第8章 ep.07 様々な種行動
──とある宿屋
裕福な婦人
「あぁ…っ」
木造の薄暗い宿部屋で白肌をくねらせて艶声を発する女を、腰で攻め立てる男は見下ろしながら僅かに口角を上げ
?
「そろそろ、あんたが求めてるものをあげるよ」
裕福な婦人
「嬉しい、わっ…あ、ぁ…っ…!」
男が自らの唇に舌を這わせた際に覗くのは、人間にはない歯の鋭さ。
それを女の首筋に躊躇なく押し込むと皮膚の奥に流れていた赤が男の口へと流れていく
裕福な婦人
「はぁ…っ…気持ち、良い…っ」
血を吸われているにも関わらず、まるでそれを待っていたかのように女は幸せそうな表情を浮かべる。
そして、そのまま身体の内側を攻め上げるものにも身体を震わせていく
ヴィンス
「ボス?」
リディア
「うん。ボスを裏切ったのか…とか、姉さんは利用された…とか」
フリント
「何だそりゃ。…他に何か言ってなかったのか」
リディア
「えっと…」
思い出そうとゆっくりとあの日の事を巡る。
リディア
「何かを姉さんで試そうとしたけど、私がいるって知って…より血が濃い私を捕まえるって言ってたかな」
ヴィンス
「……成る程。あの日にいた男はボスではないのか…だとしたら、ただの様子見だったのかな。とにかくまだ分からない事だらけだ…ただ一つ言えるのはリディア、君は狙われているという事だ。これからは出来るだけ一人では外に出ないようにね」
リディア
「うん、分かった。…ごめんね、迷惑かけて」
長く生きてきた中で自分が人間に命を狙われた事は数え切れない程あった。
だが、捕まえられる…という経験はない。
もしも、本当にそうだとしたら自分が近くにいる彼等を危険に晒しているのでは…とリディアは申し訳なくなった
フリント
「馬鹿だな、迷惑なわけねぇだろ。お前に居なくなられる方が迷惑だっつの」
ノム
「それに、俺等は仲間だろ。仲間、守んの当然じゃん…あんたも良くやってんだろ」
二人から掛けられる言葉にリディアは、胸が熱くなって喉がじーんっと痛くなる。
そして、笑みを浮かべながら頷くヴィンスとミフウを見てリディアは改めて良い仲間を持ったなと思うのだった。