第7章 ep.06 穴が開いた心
──???
モーリス
「ほぉ…瞳の色が」
白髪の男から報告を受けた人物は愉しげに、そして確信を得たように口元を歪める。
モーリス
「すぐに捕まえてこい」
ヒューリ
「気が向いたらな」
モーリス
「相変わらず気分屋だなぁ」
くつくつを喉を鳴らして笑んでこの状況を楽しんでいるようだった…
ミィナが灰になった日、拠点に戻ったリディアは倒れてしまい三日間眠り続けた。
自分でも分からぬうちに何らかの力を発動させていたらしく、その反動とショックで身体が悲鳴をあげたのだ
あの日変わった瞳は普段通りに戻っていた
ミィナ
「リディア…助けて」
ミィナ
「助けて…っ…助けて、お願い」
ミィナ
「私を………置いていくのね」
リディア
「姉さん…っ…!」
がばっとベッドから起き上がったリディアの手は何かを掴むように伸ばされており、夢だったのだと気付くと肩を大きく上下に揺らしながら呼吸をし肌にまとわりつく汗を拭うように額へ手を滑らす
リディア
「はぁ…はっ…また、同じ夢…」
フリント
「大丈夫か?」
三日間の眠りから覚めてからは毎晩、ミィナが出てくる同じ夢を見るようになった。
うなされる彼女の声に目を覚ましたフリントが心配そうにリディアを見詰めていた
リディア
「大丈夫……ごめんね」
小さく笑んでフリントへ謝罪すると、リディアはまたベッドに身体を預けたが…目が冴えて眠れなくなってしまい、そのまま朝を迎えた
─────…
────…
ヴィンス達はリディアを心配していた。
ミィナが居なくなった日から、ぼーっとして此処にあるリディアの身体は空っぽなのではないかと思わせる程だった。
誰かが声を掛ければいつも通りにはなるものの、会話が終わればまた屍の様になってしまう
壁に掛かる絵をリビングの椅子に腰掛けながら眺めているリディアへフリントが声を掛けようとすると、その肩をミフウが掴む
ミフウ
「待ちな。…あたしに任せて」
フリント
「あ、おいっ」
そう言い残してリディアの方へミフウは向かう。
ヴィンス
「ミフウが適任かもしれないね」
呟くヴィンスにフリントは首を傾げたものの、ノムは同意するように頷いた