第3章 ep.02 他と違う存在
素直にすげぇと思ったよ。
その後だって
ヴィンス
『あーぁ、ボロボロじゃないか』
床に寝転がるオレに笑いかける姿は今、吸血鬼を殺した奴だとは思えなかった。
飄々としたヴィンスの姿は…その時のオレからしたら自由に見えたんだ
ノム
「だから、その日からオレは屋敷に帰ってねぇんだ」
話終えたノムは小さく息を吐きながら柔らかく笑みを浮かべる。
静かに聞いていたリディアがノムを見て
リディア
「ノムのせいじゃない」
ノム
「え?」
リディア
「ノムのせいで妹さんが亡くなったんじゃない。…悪いのは…吸血鬼だよ」
初めて見るリディアの怒る姿と掛けられる言葉にノムは目を丸くして固まった
ヴィンス
「いやー、あの頃のオレは若かったよなぁ。…18歳だもん」
突然、背後から聞こえてきた陽気な声にノムとリディアが振り返るとそこにはヴィンスだけでなく、フリントとミフウもいた。
フリント
「けど、お前は昔から変わらなさそうだな」
ヴィンス
「まぁねー」
ミフウ
「此処じゃ、あたしの方がいる歴短いんだよね」
フリント
「そうなのか?」
ミフウ
「そうだよ。あたしは6年。ノムは10年だからね」
最初は驚いていたノムだったが、聞かれていた事にもその後に交わされる良く分からない会話に立ち上り
ノム
「うるっせぇな!」
ヴィンス
「ノムも結構うるさいよ?」
ミフウ
「確かに」
その言葉にノムは怒りで震える。
が、何とかそれを落ち着かせるとフリントの前に進み頭を下げた
フリント
「お、おい…どうした」
ノム
「悪かった。フリントにも嫌な思いさせちまった」
フリント
「構わねーよ。あいつが許したんなら、俺はそれで良い。ま、リディアの場合は許すも何もねぇけどな」
リディア
「何その言い方」
いつの間にかノムの隣に来ていたリディアが、不満気に唇を尖らせて抗議する
フリント
「間違っちゃねーだろ?」
リディア
「……まぁ…そうだけど」
フリント
「11年居るんだぞ」
ヴィンス
「ノム、1年負けたな」
ノム
「そこ張り合ってねぇんだよ…」
ノムは疲れたように息を吐きながら呟いた
ヴィンス
「これでやっと皆、仲間だ」