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苦しみの [   ]

第1章 ep.00 また最初から




──とある村の夕刻





「リリィに問題」



腰よりも少し長く毛先が黒い銀髪を揺らして振り返る彼女は、リリィと呼ばれた少女へと柔らかい笑みを浮かべて声を掛ける


リリィ
「なぁに?」


「玄関前には?」

リリィ
「お花を飾る!」


「枯れたら?」

リリィ
「また新しいのに変える!」


「正解。…一番良いのはね?庭に植えてしまう事。しっかりやるんだよ、リリィ。自分の身と家族を守る事にもなるから」

リリィ
「分かった!」


何かの問題に答えた少女と目線を合わせた彼女が少女の頭を撫でていると一人の女性が近付いてきた


リリィの母
「リディア。いつもありがとう」

リディア
「いいえ」


リディアと呼ばれた銀髪の彼女は買い物から帰ってきたリリィの母親に声を掛けられ、立ち上がるのと同時に元気な声が掛かる


イアン
「あ!リディア姉ちゃんだ!今日も本読んで!」

アンリ
「駄目よ、私が先」

リディア
「昨日はイアンだったから、今日はアンリの番」

アンリ
「やったぁ!」


三つ編みをしているアンリと呼ばれた少女は両手を上げて嬉しそうに笑った。
それから、リディアを囲んでリリィとイアン、アンリは物語の旅へと出た


暫くすると物語を遮る様に入ってきた太い声に四人は顔を上げる。
すると、紺の髪を一つに束ねているがたいの良い長身の男が四人の前に立っていた


イアン
「フリントだ!」

アンリ
「フリント!」

リディア
「おかえり、フリント」


フリントという男の登場により物語の旅は終わってしまったが、少年少女は嬉しそうに彼へ抱き付いた


フリント
「おお、ただいま。お前等は本を読んでもらってたのか」

リリィ
「うん!」

おじさん
「お!リディア、フリント良い所に。ちょいと手伝ってくれんか」

フリント
「おう、構わないぞ」

リディア
「分かった。…皆、本はまた今度ね」


彼女の声に少年少女は元気に挨拶をした。



─────…
────…


日も落ちた頃。
リディアとフリントは村の酒場へと食事をしに来ていた

今日はやけに酒場の中が騒がしい。
どうやら村人ではない者達…盗賊が占領しているようだ


まるで自分達の領地かのように騒ぎ荒れている



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