第14章 ep.13 守りたいもの
翌朝、目が覚めたリディアは隣に眠るヴィンスの寝顔を見て…嬉しそうに笑みを浮かべる
リディア
(幸せだな…)
リディアは幸せに浸っていたい身体を無理矢理、起こしてヴィンスが目を覚まさないようにベッドから出る。
入浴を簡単に済ませて身支度を整えると、まだ全員が眠っている拠点から出て振り返る
リディア
「皆ありがと。…必ず私が守るから」
そう呟いて振り向いた時には、リディアの瞳に覚悟が宿っており…強い意思が溢れていた。
リディア
「見てるんでしょ?」
少し歩いた所で誰もいない空間に向かってリディアが声をあげると、愉しげな笑みを浮かべてヒューリがリディアの目の前に立つ
ヒューリ
「何だ、バレていたか」
リディア
「モーリスの所に私を連れてって」
ヒューリ
「ほぉ…?連れ去る手間が省けた、ついてこい」
喉をくつくつと鳴らして笑いながらヒューリが歩き出すと、それについていくようにリディアも歩き出す
──────…
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街を外れた所に薄暗い空気を纏った不気味な城が姿を現した。
近付けば近付く程に冷気を感じるような、刺す空気にリディアは息を呑む
中に脚を踏み入れ大きな扉の前に立つと、それはゆっくりと重い音をたてて開き…広い部屋の真ん中には城と同じくらい冷気と威圧感を纏った、ミルクティー色の髪を持つ男が長い脚を組んで椅子に座っていた
モーリス
「待っていたよ。……リディア…私の言った通りになっただろう」
リディア
「そうなるように仕向けたんでしょ」
モーリス
「ふふ、そうだね。…私はずっと汝のような存在を探していたんだ。簡単に諦めるわけないだろう…?」
肘掛けに頬杖をつきながらモーリスは妖しい笑みをリディア向ける。
だが、それを向けられたリディアは眉間にシワを刻む