第11章 ep.10 一時の休息を
宿の部屋数の問題で男性陣と女性陣で分かれた。
リディア
「ねぇ、ミフウ。聞いても良い?」
ミフウ
「ん?何だい」
質素なベッドに腰掛けながらリディアがミフウへ声を掛けると彼女は自分のベッドに腰掛けながらリディアへ視線を向ける
リディア
「あのね、前は何とも無かったんだけど…最近ヴィンスの笑顔だったり少しでも触れると心臓が痛くなるの」
自らの心臓の当たりに触れながら告げるリディアの言葉にミフウは、おぉ…っと声を溢す。
彼女自身でその気持ちに気付かせるべきか、自分が言ってしまうべきか…ミフウは迷った
だが、リディアの様子から気付かないような気がしたミフウは教える事にした
ミフウ
「リディア、それは恋だよ」
リディア
「こ、恋…?」
ミフウ
「そうさ。ヴィンスに会えるとどう思う?」
リディア
「え?えっと…嬉しいけど、前はしなかったのに緊張するの」
ミフウ
「うん、やっぱり…恋だね」
リディア
「これが…恋」
ミフウ
「ほら、言ったろ?気付いたらしちゃってた。…何がきっかけでいつからかなんて分からないけど、知らない間にしてるもんさ」
リディア
「何だか、擽ったいね」
初めて芽生える感情の答えに恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑むリディアを見てミフウは思わず両手で彼女の銀髪をわしゃわしゃと撫でた
ミフウ
「可愛いなぁ、リディア!」
リディア
「わ、ふふ…ぼさぼさだよ」
室内に充満する笑い声は幸せに包まれていた。
狙われている事にはかわりはなく安全ではないものの、一時だけでも心を休む事が出来たリディアは大切な仲間に感謝するしかなかった