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苦しみの [   ]

第10章 ep.09 不気味ワルツ




吸血衝動抑制薬がなくなった為、拠点へ戻ってそのままヴィンスと研究部屋へ向かった



リディア
「ありがと、ヴィンス」


薬を受け取りお礼を述べてから部屋を出ようとする、リディアをヴィンスは止める


リディア
「ん?どうかした?」

ヴィンス
「少しだけで良いから、抱き締めさせてくれないかい?」

リディア
「え?」


リディアは問われたそれに驚いたように首を傾げたが、ヴィンスは許可をもらうよりも先に彼女の後頭部へ片手を回して引き寄せると自身の腕の中へ閉じ込めた


ヴィンス
「良かった…何ともなくて、本当に」

リディア
「ヴィンス…ありがと、心配してくれて」


肩に顔を埋めたヴィンスの低くも暖かさのある声が耳元で震えていればリディアは安心させたくて、彼の背中へ腕を回した

リディアは心配してくれる気持ちが嬉しいと思うのと同時にヴィンスに抱き締められている事にたいして心臓が身体を突き破るのではないかと思う程、痛くて不思議に思う


リディア
(何?この感じ…)


勿論そんなものに完結もなければ答えも持っていない。

ヴィンスはリディアがちゃんと拠点に帰ってきた事に安堵して暫く抱き締めていたが腕を解き


ヴィンス
「いきなりごめんね。びっくりしただろ?」

リディア
「え?ううん、大丈夫」


顔を覗き込まれると慌てて笑顔を作り首を振る


ヴィンス
「ノムは眠らされてしまったようだけど…兎に角、本当に何もなくて良かったね」

リディア
「うん。ノムとシディが眠らされた時はどうしようかと思った…」

ヴィンス
「良く頑張ったね。…モーリスって奴の言動は良く分からないけど、夜は人も外へ出ないから見付かる確率が上がる。…モーリスやヒューリ以外であれば問題はないが…なるべく遅くならない様にね」


モーリスが来る前は七人の吸血鬼を倒した事も教えてもらっていた為、他であれば大丈夫だろうと外出する事は禁止しなかった。


リディアが頷くのを見ればヴィンスは目を細めて、良かったと呟いた


彼女の事を好きだと自覚した途端に、狙われている事もあり彼女の帰りが遅いだけで心配をしてしまうようになったヴィンスは自分がそうなると思っていなかった為、内心苦笑をした



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