第9章 ep.08 不思議な気分
ノム
「偶々、見付けたんだ…リディアのマフラーを」
ヴィンス
「リディアのマフラー?」
それは、此処へ連れて来られた時にリディアの首にないマフラーをヴィンスが疑問に思ったものだった。
ノム
「俺が歩いてたら見た事あるマフラーを見付けて近付いたらそれがリディアのだって分かった。したら、それから繋ぐように血の道が出来てたんだ」
ヴィンス
「血の…道?」
それを聞くと血を摂取して顔色が少し良くなったリディアがヴィンスの腕の中で呟く
リディア
「マフラーが取れたのは偶然だったけど…それを見て思い付いたの、そこから血を垂らしたら私だって気付いてくれるかなって。…外に来るかは分からなかったから…一か八かだったんだけど」
ミフウ
「けど、すぐに傷口は塞がっちまうだろ」
フリント
「ずっと傷をつけ続けたんだろーよ」
フリントの言葉にリディアは弱々しく笑んで頷いた
リディア
「その時は手が自由だったから腰にあるダガー、で傷をつけてた」
ヴィンスはそれにもショックを受けた。
それを見付けられない程に自分は冷静じゃなかったのかと…普段であれば、こんなに冷静さを欠く事はない
ヴィンス
「ごめん、ごめんね…リディア。君を関係ない事に巻き込んで…傷付けさせてしまって」
リディア
「ヴィンス…」
いつも飄々としているヴィンスの弱々しい姿に全員が驚いたように彼を見詰めた
リディア
「謝らないで、ヴィンス。…貴方は私を助けようとしてくれた…なのに、死のうとしちゃって…ごめんね」
ヴィンス
「良いよ…だって、君はこうして生きてる」
優しく自分の腕の中で微笑むリディアを見て、ヴィンスはやっと落ち着きを取り戻せた。
無事な二人の姿を見た三人はお互いに顔を見合わせて、やっと笑みを浮かべる事が出来た。
その後、リディアはフリントに背負われ眠ってしまい
そのまま全員で拠点へと戻っていった