第14章 研究と緊急招集
「怖い……か。その感情がないと言えば嘘になるが、俺たちは鬼殺隊として任務をこなす上で多くの人々の悲しみを見てきた。怖いと言う感情よりも、鬼をこの世から滅殺出来るならば恐怖よりも勝るものがある。それに」
杏寿郎は1度言葉を切り更紗を瞳に映して穏やかに微笑んだ。
「更紗にだけ辛い運命を背負わせたくはない」
そう言葉を続けた杏寿郎の表情は本当に穏やかで、心から思っているのだと更紗に伝わった。
それが嬉しいと思う反面、胸を締め付けるような痛みが走る。
「どこまでも杏寿郎君がお優しくて困ってしまいます……こんな思いをするのは私たちだけで十分です。誰も鬼によって悲しみや痛みを感じない平和な世の中にしましょう。そのためにも、明日からの鍛錬、益々厳しくお願いします!」
胸の痛みを振り払うように、涙が流れないように、更紗は笑顔で杏寿郎を見つめ返した。
「そうだな!鬼のために流れる涙は俺たちの代で終わらせよう!ふむ……では、明日からの鍛錬は課題を増やすか!向上心が高く俺も嬉しい限りだ!」
離れで眠る炭治郎、善逸、伊之助が知らぬところで鍛錬の厳しさが増す事となった。