第14章 研究と緊急招集
「ムグッ!」
ここには既にいないと思っていた人物の来訪に驚き、口に含んでいた水を吹き出しそうになって慌てて喉へと追いやった。
来訪者である杏寿郎も今まで更紗から聞いたことのない音が聞こえ、早足でベッドのそばへ移動する。
「大丈夫か?!すまない、驚かせてしまったな」
「グッ……!違っ!もう帰っちゃったと思ったから、驚いたけど嬉しい」
少し幼い話し言葉に、杏寿郎は何かしら更紗の感情がブレていると気付くが、言ってしまうと自身の感情をしまい込むだろうと思い、それには触れなかった。
「宇髄が竈門少年たちを任されてくれたので、俺は朝までここにいる。具合はどうだ?辛くはないか?」
「うん、しのぶさんのお薬のお陰様で随分と楽になったよ。咳も……あれ?朝まで居てくれるって……私は入院になるの?」
キョトンと見つめる更紗の表情と、普通の女子のような話し方に杏寿郎の胸が締め付けられるも、あまり見ることの出来ない更紗の一面に体が熱くなる。
「君は入院だ。肺の細胞が傷付いているようでな、それが良くなるまで手放さないと胡蝶が言っていたぞ?偉く可愛がられていて、嬉しい半面、少しばかり妬けてしまう」