第13章 新居と継子たち
「それは俺も派手に心配なんだよなぁ……姫さんはそういった店で男から、体調が悪いので休める部屋へ案内してくれ……って言われたとしたらどうするよ?」
杏寿郎の説明で朧気にどういった店か理解出来たのだろうが、警戒心が地下なので2人の予想通りの言葉を自信満々な笑顔で返した。
「ご案内します!」
「許可しかねる!宇髄、更紗は人を疑うことを知らん!いっそのこと俺が女装して潜入するのはどうだろうか?!」
いくら何でも無茶な提案だ。
こんなに筋肉質な女性が
「今宵の伽のお相手をさせていただきます」
なんて言って出てこようものなら、戦闘が始まるのではないかと恐怖すること間違いなしだ。
「それは派手にキツい……せめて体が出来上がる前の15・6歳なら……って煉獄の継子ってあれだろ?鬼の妹連れた剣士。あいつならまだどうにかなるかもしれねぇ!姫さんが潜入したとして、あいつを護衛につければ心配も減るんじゃねぇか?早速道場行こうぜ!」
庭に立ちっぱなしだった天元は勝手知ったるなんとやら、煉獄家と同じ作りの新居の道場へ2人を置いて向かってしまった。
「杏寿郎君、ご案内してはいけないのならば、どうすれば正解なのでしょうか?」
「……よし、更紗!任務にどうしても赴かなくてはならなくなった際、今のように困らないための処世術を伝授する!どのようなことでも学ぶことは自らの糧となるぞ!」
そう言われると素直に学ぼうとするのが更紗だ。
笑顔で頷き返した更紗を伴い、杏寿郎は道場へと向かった。