第10章 裁判と約束
「随分と落ち着きました。体に異常も特に感じません。杏寿郎君としのぶさんは大丈夫ですか?」
杏寿郎としのぶは更紗が無事だと分かり胸をなでおろす。
2人とも特に体に異常を感じることもなく、杏寿郎の指先の傷もすっかり完治していた。
杏寿郎は自身の羽織りを更紗の肩にかけてやりながら答える。
「俺は問題ない。傷もすっかり治っているが、途中で入ってきた不死川の傷も治っているように見えたな」
「私も大丈夫ですよ。不死川さんに関しては私の不手際でした。鍵を閉めておけば……」
しのぶは眉をひそめ悲しげな表情となる。
「お2人が無事で安心しました。私は先ほどの苦めのお薬?で元気になりました。だからどうかそのような悲しい顔をなさらないで下さい!私よりも実弥さんはご無事ですか?どちらにいらっしゃるのでしょう?」
その言葉を扉越しに聞いたのか、実弥が部屋の中へ入ってきた。
「何が起こったのか分かんねェが……なんか悪かったなァ。俺の傷も治ってる。心做しか傷跡も薄くなってるような気ィもする」
実弥は自身の体にある無数の傷跡を不思議そうに眺めている。