第10章 裁判と約束
「畏まりまりました。その任務、必ずや解決してみせます」
杏寿郎の頼もしい返答にお館様は笑顔で頷き、先を続ける。
「その任務の際は、必ず更紗を同行させること。いいね?」
更紗は杏寿郎の継子なので、彼女に別の柱の同行任務が発生しない限り元々連れて行くつもりだったのだが、改めてお館様に念を押されると疑問が浮かぶ。
「更紗はもとより同行させる予定でしたが、任務にあの子と何か関係あるのでしょうか?」
「任務に直接は関係ないよ。どちらかと言えば杏寿郎の為になる。何にとまでは分からないけれど、これは勘ではなく私の確信だと言えば分かってくれるかい?」
産屋敷家当主には少し先を見通す力が備わっているという。
杏寿郎の知るところではないが、炎柱になる際もこの確信が働いたのだ。
「俺の為に……?あ、いえ、お館様の確信があるならば更紗は任務に必ず同行させます」
「頼んだよ。件の汽車が次に動くのは1か月後。詳細な日時は追って鴉で伝えるから準備を整えておくように」
杏寿郎は「御意」と短い返答を返し、あとの2つの要件を待った。