第10章 裁判と約束
『御意』
さすがに全員とはいかないが、杏寿郎やしのぶが返事をした分、認める声が多くなった。
「ありがとう。それと更紗、君の力は今回の件で鬼舞辻が喉から手が出るほどに望んでいると分かった。あの鬼を倒したので、日の高いうちは襲われないとは思うけれど、日暮れ以降は気を付けること。いいね?」
鬼舞辻に追われていることは理解しており、前のように昼間に突然襲われる心配がないならば、今までの生活に戻るだけなので問題ない。
ただ、屋敷を賜わるまで杏寿郎にも日々転々とした生活を強いる事と、柱全員にも少なからず同行任務で負担を掛けている現状に罪悪感を感じている。
「はい……お館様には格別のご配慮感謝しております。この場の皆様にも多くのご負担をかけております事を謝罪すると共に、助けていただいている現状に感謝致します。これ以上ご迷惑をお掛けしないよう、日々鍛錬を怠らず邁進してまいります」
地面に額がつくほど頭を下げ、全員に謝罪と感謝を述べる。
今の力不足の更紗に出来ることと言えば、これくらいである。
あとはこれから成長して、鬼殺隊として戦力になるよう努力を続けるのみだ。