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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第9章 風柱と那田蜘蛛山


鬼殺隊の要の1人である炎柱に本気でそう言われ、こんな一面は自分しか知らないのだと思うと更紗はむずがゆく感じクスリと笑みをこぼした。

「何か可笑しなことを言ったか?」

「いえ、なんだか嬉しくて。杏寿郎君、そちらのお布団に……お邪魔しても構いませんか?」

珍しい更紗の言葉に杏寿郎は目を丸くするも、すぐに満面の笑みになって自分の布団を持ち上げる。

「もちろんだ、おいで」

その言葉に嬉しそうに笑顔を深め、いそいそと自分の掛け布団を丁寧に半分に折ってから待っていてくれている布団の中に身を滑り込ませた。

「杏寿郎君、すごく温かいです」

更紗は杏寿郎が腕を背に回す前に自らの腕を広い背に回し、まるで心音と体温を感じ取るようにピタリと胸元に身を寄せている。
いつもと違うその行為も棗の出来事を思うと必然な行動に感じ、杏寿郎は何も言わず抱きしめることにした。

「俺も温かくて心地いい」

「はい。私、棗姉ちゃんの事があって思ったんです。命ってなんて儚くて尊く愛しいものなんだろうって。命は永遠ではなく、突然何の前触れもなく散ってしまうことすらあるから……日々その命の灯が燃えている間、何よりも尊重し慈しまなくちゃいけないんだって」

「更紗?」
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