第9章 風柱と那田蜘蛛山
そんな更紗の気持ちを感じ取った杏寿郎の言葉に、更紗は気持ちを持ち直し目元をキリッとさせる。
「はい、ありがとうございます。めげずに努力を続けます」
前向きな更紗の言葉に杏寿郎が恵比須顔で応えたと同時に、杏寿郎の肩に鎹鴉が空から舞い降りてきた。
「戻ったか、すまないが少し待っていてくれないか?お館様からの重要な話なんだ」
杏寿郎がお館様とどのような連絡を取り合っていたのか気になったが、機密案件なのだと理解し更紗はその場を離れる為に最低限の声をかけた。
「はい。では終わられましたらお声がけください、向こうで待っていますので」
「あぁ、すぐに終わる」
いつになく緊張した面持ちの杏寿郎を心配しつつも踵を返して会話が聞こえない位置まで移動し、腰に差している木刀で呼吸の型の練習をすることにした。
「ふぅ……炎の呼吸 伍ノ型 炎虎!」
やはり炎猫が飛び出すも、威力はそこそこあるようで地面を深く抉っている。
「……この猫ちゃんは猫ちゃんで可愛らしいのですが、きちんと技を出せた時の方が威力がありますね。やはり鍛錬あるのみです!もう一度……」
「更紗!!」