第9章 風柱と那田蜘蛛山
あれから1ヵ月、更紗と杏寿郎はほぼ毎日任務に繰り出し多くの鬼を倒してきた。
拠点を宿、藤の花の家紋の家、煉獄家の3つを転々としつつ、更紗の単独任務分と杏寿郎の単独任務分を併せての数に加え、杏寿郎は柱なのでそれも加味されての多さだろう。
鬼師範として杏寿郎は、更紗の実力より少し上だと思われる鬼に関しては基本的に討伐に手を貸さず、日々僅かであっても更紗の実力が上がるよう実践的に鍛錬を行っていた。
そんな中で更紗も弱音や不満を漏らすことなく甘んじて鍛錬を受けていたが、更紗にとって気がかりな事がある。
「なぜ伍ノ型だけ安定しないのでしょう?5回に1回くらいは炎虎ではなく炎猫になります」
最終戦別の前からなぜか伍ノ型 炎虎のみがうまくいかないのだ。
いや、上手くいかないというよりはむしろ炎猫で成り立ちつつあると言った方が正しいのかもしれない。
「俺も今まで多くの炎の呼吸の剣士を見てきたが、父上はもちろん俺も他の剣士も猫のようになることはなかった。宇髄も言っていたが、更紗の繰り出す技は通常の炎の呼吸とは少し違うように思えるのだ」