第9章 風柱と那田蜘蛛山
1晩休み、翌朝に天元の嫁達に2人が礼を述べた後、更紗は嫁達と朝餉を作り全員で賑やかな食卓を囲んで、その後に天元一家に笑顔で見送られて煉獄家へと無事に帰宅した。
帰ってすぐに事の顛末を槇寿郎と千寿郎に話すと、寂しがりはしたものの更紗の身を案じ温かく受け入れてくれ、お館様から賜る屋敷ができるまでの期間、危険がない時間帯の滞在も歓迎してくれた。
その後は天元に宣言した通り、お館様には屋敷を与えて貰える事に関する礼を、柱達には以前に更紗を受け入れてくれた礼と共に、鬼舞辻無惨の件とこれからの杏寿郎と更紗の事を手紙に綴り連名で送った。
こうして慌ただしく昼過ぎまで過ごし、現在は引越し作業の途中だった離れで、今夜身を寄せる宿へ持っていくものを袋に詰めている。
「杏寿郎君、私の荷物は少ないので袋に入らなければ私の袋に入りますよ!!」
意気揚々と宣言するが、それを言うのは男側からのほうが多いだろう。
もちろん杏寿郎もそう思ったようで苦笑いを浮かべている。
「俺も荷物は多くないから問題ない。むしろ君は荷物を減らしているのではないか?女子は荷物が多いと聞くが」