第2章 追い風
「更紗ちゃん、大丈夫ですか?」
フフッと笑いながら、しのぶが手のひらを更紗の目の前でヒラヒラさせていたのだ。
「あ、え、えっと、大丈夫です。お待たせしてしまい申し訳ありません」
いつの間にか立ち上がっていた2人につられて、更紗も急いで立ち上がる。
「全く待ってないから謝ることはない!後は胡蝶と更紗の力の調整についての話だが、胡蝶の任務のない日に更紗を蝶屋敷に連れていくのはどうだ!?」
杏寿郎の大きな声にしのぶは耳を塞ぎそうになるが、更紗の事なので我慢して手を握って拳を作り凌いだ。
「構いませんよ。ただ、煉獄さんの自宅と蝶屋敷は距離がありますが、毎回来てもらって負担になりませんか?」
杏寿郎は大きく目を見開き、自信満々に宣言する。
「なんら問題ない!それくらい緊急招集を除いていつでも可能だ!」
「ではそういう事で……煉獄さん、更紗ちゃん、よろしくお願いしますね。それから、その着物は更紗ちゃんが元々持っていたものですか?」
杏寿郎は大きく頷き、更紗もペコリと頭を下げる。
「よろしくお願いします。いえ、これは今日、杏寿郎さんにいただいたものですが、どこか変でしょうか?」