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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第7章 不穏な影と全貌


やっと素直な感情を出し涙を流す更紗の頭を、ゆっくり落ち着かせるように撫でる。

「そうだな、更紗は怖くて痛くて辛くて仕方なかったんだ。その感情を押し込めなくていい、それで俺が困ったり迷惑だなんて思うことはない。もっと甘えてくれ」

最終選別を終えた時も子供のように泣きじゃくっていたが、今回の出来事はそれを軽く上回る苦痛だったのだろう。
小さな声ではあるが、声を漏らし嗚咽も混じらせ泣いている。

(あの男、やはり生殖機能をなくしておくべきだったか)

杏寿郎にとって、更紗の体にのしかかっていた事実が何よりもあの男に対して凄まじい嫌悪感を抱かせている。

しかし今は憎き相手に感情を揺さぶられている場合ではない。
恐怖に泣き続ける少女を慰めるのが先だ。

杏寿郎はゆっくり更紗を胸元から離し、涙で濡れた顔を両手に包む。

「更紗、俺にこうして触れられて怖くはないか?」

「怖くなんかありません。気持ちよくて……安心できます」

(んーーー!!いかん!俺が癒されてしまっている!!)

そんな心の葛藤を知らず更紗は続ける。

「杏寿郎さんに触れてもらえると、嬉しくて幸せな気持ちになります。杏寿郎さんじゃないと嫌です」
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