第5章 色変わりの刀と初任務
そこからの天元はさすが元忍と普段ならば感心される素早さで、縁側に続く庭に脱ぎっぱなしにされていた草履を履いて飛び出して行った。
「許可は取った!!だが派手に雷落とされそうだから、俺は帰るわ!!またな!」
まさしく風のように去って行った。
その様子を4人は呆然と見送るしか出来なかった。
そして更紗、千寿郎、蜜璃は杏寿郎を見る。
体全体で怒りを表すかのようにワナワナと震えているのに、1番に反応したのは蜜璃だった。
「あら、もうこんな日が高く昇ってるわ!!更紗ちゃん、今度一緒に甘味処行きましょうね!美味しい所を知ってるの。じゃあ、お邪魔しましたぁ!」
そう言い残して部屋を勢いよく飛び出して行ったが、すぐに戻ってきてピョコっと顔を出す。
「出来ればお名前は、様とか、さんとかじゃなくて蜜璃か蜜璃ちゃんって呼んでもらえると嬉しいな!」
「蜜璃……ちゃん、今度、美味しい甘味処、楽しみにしています!」
ニコッと頷いて今度こそ部屋からも玄関からも飛び出して行ってしまった。
「あーー……僕はこれを片付けます」
千寿郎までも杏寿郎に恐れをなして、蜜璃と菓子を食べた後の皿を持って台所へと足を向けた。