第4章 鍛錬と最終選別
槇寿郎はなにか思い出すように視線を斜めに向け頷く。
「確かに……柱である!お前が!鬼殺隊剣士でもない!1人の女子に!捕まりかけてるのを何度か見たな」
嫌味だ。
わざわざ、お前は未熟だと言うように言葉を1つずつ強調している。
「ですから、今では適正な最終課題だと思っています」
ふむ……と槇寿郎は何かを考えている。
「まぁ、俺が言いたかった事はそういう事だ。不公平にならぬように助言をしたが……まさか本当に実行するとは思わなかったのも事実だ」
その槇寿郎の考えには杏寿郎も同感だ。
年頃の娘が、事もあろうか一糸まとわぬ男がいる風呂場に、課題を突破する為とはいえ浴衣姿で突撃するなど、夢にも思わぬ暴挙だ。
「あの子は……正しく子供のまま体だけ成長してしまったので、そこら辺の危機感はほぼ皆無に等しいと思われます」
2人は顔を見合せ大きな溜息をついた。
しっかり教えこまなければ同じような事が万が一にあった場合、杏寿郎以外の者に対しても同じ暴挙を繰り返すだろう。
「それはともかく、お前ともう1人の柱が育てたのだろう?それならば信じてやれ。それとも信じられないほど適当に育てていたのか?」