第4章 鍛錬と最終選別
(仰る通りでございます……)
トボトボと落ち込みながら杏寿郎に頭を下げる。
「ありがとうございました」
いつもの元気な挨拶に慣れている杏寿郎は悪い事はしてないはずなのに、なぜか罪悪感が湧いてくる。
「あぁ、引き続き頑張れ」
(えぇ……とてつもない罪悪感が襲ってくるぞ!心を、心を鬼にするのだ!)
杏寿郎は相変わらずトボトボ歩いていく更紗の姿に、無駄に胸を締め付けられながら見送った。
それから更紗は千寿郎や槇寿郎の許可を取り、庭に罠を張ることにした。
千寿郎も驚きはしたが、天元の鍛錬の内容を更紗から聞いていたので苦笑いしながらも快く受け入れてくれた。
更紗にとって予想外だったのが槇寿郎の反応だった。
鍛錬を天元に行ってもらっていることは杏寿郎から聞いていたので知っていたが、杏寿郎同様……いや、それ以上に内容を知らなかったのだ。
「そ、そなた、そんな鍛錬をしていたのか?!あ、いや、庭に罠を張ることは問題ないが、自分で引っ掛からないように気を付けなさい」
珍しく動揺する槇寿郎の新しい顔を見れたと、更紗は喜びながら意気揚揚と杏寿郎のいる道場から見えない位置に罠を巡らせていく。