第4章 鍛錬と最終選別

杏寿郎と天元の目にうつったのは、間違いなく不知火を発動した更紗の姿。

しかしそれは杏寿郎の燃え上がるような力強い炎ではなく、もっと静かに、それでいて力が凝縮されているような凛としたと言う言葉がピッタリな炎だった。

それを目に入れられたのは2人とも一瞬で、次の瞬間にはキンッと金属が弾き合う音がして刀が弾け飛び、更紗は尻もちを着いている。

ザクッと更紗の目の前に自身の刀が地面に突き刺さ更紗は息を呑んだ。

「ハァハァ……天元様、参りました」

更紗は乱れる呼吸を整えながら立ち上がり、天元へと頭を下げる。
そうして地面に突き刺さった刀を抜き取り、刀身についた土を振って払い落とし鞘に納めた。

「やるじゃねぇか姫さん！威力は煉獄に劣るが、俺の手に派手に振動が伝わったぞ！やっぱ面白ぇ姫さんだな！煉獄！」

と天元は杏寿郎に向き直るもそこに居たはずの杏寿郎はすでにそこにはおらず、更紗の前に移動していた。

（俺の声、届いてねぇ？！）

「更紗、怪我はないか？！痛むところは？！」

心配すると言うより少々過保護に思えた天元であるが、それを本人に言うことは出来なかった。