第4章 鍛錬と最終選別
子供の声だ。
まだ生きている。
更に速度を上げ部屋まで辿り着くと、異形の鬼が今にも子供に牙で襲いかかろうとしているところだった。
その姿を確認するや否や、目にも止まらぬ速さで杏寿郎が抜刀し足を踏ん張った。
「炎の呼吸 壱ノ型 不知火!」
するとまるで刀が炎を発したかのような残像を残し、一瞬で鬼と間合いを詰め瞬き1つで頸を落とした。
襲われていた子供はそんな杏寿郎に驚き涙を溜めた目を瞬かせていたが、命の危機が去ったと理解すると大声で泣き出し杏寿郎に飛びついて行った。
その子供を優しく抱きしめてやると、杏寿郎も安心したかのように肩の力を抜いた。
「間に合ってよかった!もう大丈夫だ、ご両親の元へ送って行ってやる。怪我はないか??」
子供は泣きじゃくっていて答えられない。
更紗はその子供の腕から僅かに血が出ているのを発見し、歩み寄ろうと一歩踏み出したその時であった。
「マレ血の女ぁーー!!」
入ってきた入口の反対側、壁を突き破って新たな鬼が現れた。
杏寿郎は即座に子供を背後に隠し、鬼の頸を斬る体勢を整えるが、視界の端にうつった更紗の姿を確認してその手を止めた。