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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第25章 決戦と喪失


杏寿郎の提案は今の更紗にとって何より魅力的で、全て叶えられたらどんなに幸せだろうかと考える。

やはり考えれば考えるほど幸せな未来で、杏寿郎の隣りで花火を見たり祭で色んな出店を見たり……一緒に神様にお祈りしたり。
何気ない日常を彩る催しを1度も経験したことのない更紗にとって、何より生きる気力を与えてくれるものだった。

「うん……うん。全部したい……私のお願い……柱の方で叶えてくれる願い……聞いてくれる?」

「何でも叶えてやる。皆も君の願いなら何でも聞いてくれる。教えてくれ……君の願い」

更紗の口元に耳を寄せ掠れる小さな声を聞くと、ようやく杏寿郎の顔に笑顔が戻った。
その気配を感じ取り更紗も小さく笑う。

「皆が喜びそうな願いだな。不死川は恥ずかしがりそうだが君の願いなら喜んで叶えてくれるだろう。更紗の体調が良くなったら1番に叶えよう、約束だ」

「嬉しい。死んでも生きなくちゃ……あれ、杏寿郎君……私ね、今力が制御出来なくて……皆さんに治癒をかけたままになってるのに……1人分が消えた……どう……して」

今も尚更紗の血と力は柱たちの傷を癒そうと緩やかに漏れ続け、全員の体をフワフワと覆い続けている。
流れる血はゆっくり補充されるように輸血で腕から体内に注がれている状況だ。
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