第1章 月夜
普通の概念が世間一般のものとかけ離れすぎており、もはや煉獄は言葉を失うしか無かった。
(考え出すとキリがない。後でまとめて聞くとして……今は埋葬してやらねば。月神少女もその気で準備をしていた……うむ!気合いを入れていたということにすれば問題ない!)
無理やり自分を納得させ、弔う為の準備を2人で行った。
しばらくして2人は埋葬を終えた。
その後、煉獄は鬼殺隊の一員である隠達と後からやってきた剣士達に指示を出し、後処理を的確に素早く終わらせ元来た道を更紗を連れ立って歩いていた。
更紗は汚れのない着物と草履を隠からもらい着替えている。
件の隠曰く
『そのような格好では色々危険です!隣りを歩く煉獄様も変な目で見られてしまいます!』
との事だ。
自分だけならまだしも、煉獄も共に被害を被ると言われてしまえば着替えない訳にはいかなかった。
そうこうしているうちにいつの間にか2人で山道をくだっているのだが、更紗は煉獄からどこに行くかは聞かされていない。
だがどこに連れていかれようが、今までの生活が普通の感覚を狂わす程のものだったので特に不安はないようだ。
一方、自ら連れ立ったものの、煉獄は隣を歩く少女の処遇を決めかねている。
そんなチグハグな2人を見守るように綺麗な満月が顔を出し、優しい月光で包み込んでいた。