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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第24章 凄惨と合流


「ありがとう……ございます!」

更紗が足を動かす前に2人が鬼舞辻へと向かっていったので、自分もと一歩踏み出したところでふわりと炎を模した羽織が目の前で旗めいた。

「俺の側から離れるな。何度も言うが君はこの地獄のような場所で俺たちにとって光だ。何があろうとその光を失う訳にはいかない。不本意かもしれんが理解してくれ」

柱の中で1番力量が劣る更紗は今のように鬼舞辻に狙われては為す術もない。
確かに治癒の面で言えば光となりうるかもしれない……しかし誰かに力添えしてもらわなければならない自分の力量は光ではなく、鬼舞辻の光となり得る鬼殺隊にとっての影ではないかとさえ思える。

(心が痛い……でもワガママや泣き言を言っていい場面じゃ……ないですよね)

痛む心を無理矢理に鎮め、杏寿郎の言葉に頷いた。

「はい、足手まといにならぬよう尽力致します」

「君の力量は間違いなく柱に足るものだ。行くぞ!」

短い言葉なのに更紗の心の痛みを瞬時に取り除き火を灯してくれる。
更紗の返事を聞かずに先を行く背中は、出会ってからずっと追いかけ続け……未だに辿り着けない大きく優しく頼もしい背中。
そんな背中に追い付こうと止まっていた足を踏み出して日輪刀を構える。

他の柱たちも同時に動き出し、四方八方から鬼舞辻に刃を突き立てられると思ったのも一瞬。

近くにあった背中が反転して温かな腕の中に強く誘われた後、聞こえたのはくぐもった呻き声と様々な物が壊れる音。
そして空に赤い花が咲き乱れるかの如く……一面にまたあの痛い赤が広がった。
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