第24章 凄惨と合流
ゴソゴソと中から取り出した瓶を実弥へ手渡すと、ようやく口元を解放してくれた。
「これは何だ?」
「消毒薬です。揮発性の液体なので火元があればこれで鬼舞辻を燃やして不意をつけるのではと」
燃やす……という単語に反応したのだろう、実弥は顔全体を黒い笑みで満たして日輪刀を鞘へと戻し足を動かし始める。
「いいもん持ってんじゃねぇかァ。俺が先に行くから、お前は俺の影から塵屑野郎を狙え。いいな?」
「はい!時間が無いので省きますが、これを額に付けてください。何かはすぐに分かります」
よく分からない模様の描かれた紙に首を傾げつつも、実弥は言われた通りに額に紙を貼り付けて鬼舞辻へと目にも止まらぬ速さで迫りよっていった。
その後を更紗も額に紙を貼り付けて追い掛け、鬼舞辻から見えなくとも実弥の影に隠れるようにして走り出す。
(見つかれば私が1番狙われる。大量の血肉を喰わせないようにしなきゃ……鬼舞辻を倒す手立てがなくなる)
自分の立ち位置が鬼殺隊の中で1番定まらないと理解している。
柱も更紗を前衛にするか後衛にするかで悩んだはずだが、それでも前衛にとここにいることを許してくれたのだ。
「何がなんでも足止めしなきゃ」
実弥が鬼舞辻を炎で包み体を両断し終えたのを確認すると、その影から飛び出し技の構えを取った。
「紫炎の呼吸 弐ノ型 星炎燎原」