第23章 上弦と力
そこから玄弥が合流し、実弥、行冥と合流を果たし、現在戦闘を繰り広げている最中だと聞く。
上弦の弐でさえ3人の柱の力と2人の継子の力を合わせてようやく倒せたのだ、壱となるとその強さは計り知れない。
「霞柱左腕喪失、風柱モ負傷。不死川隊士……胴体切断。急イデ下サイ!早ク!」
鎹鴉が速度を上げて2人を先導する。
2人もそれを甘んじて受け入れて速度を上げ、更紗は瞳からポロポロと涙を零しながら造血薬に手を伸ばした。
「間に合わせないと……天元君の手で1本だったから、無一郎さんで2本実弥さんで1本、玄弥さんで3本……くらいでしょうか」
失う恐怖から造血薬を握る手を震わせる更紗に対し、杏寿郎は手に握られた造血薬の数に体を震わせる。
「更紗は自分の許容範囲を分かっているのか?全員が助かっても君が死ねば誰も喜ばないぞ」
「……正直に申しますと、許容範囲をはっきりとは把握していません。6本は未知の領域ですが、恐らく大丈夫かと。流石に10本を超えてくると能力が焼き切れて命を落とすか……何が起こるか分からないですね」
流れた涙を拭い去り、顔を顰める杏寿郎に心の中で謝罪をしながら、いつでも注射を打てる準備を整えた。