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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第22章 開戦と分断


1度言葉を切り、杏寿郎がそれに対して言葉を返す前に先を続ける。

「残す方も辛いとお母さんが言っていましたが、こうして改めて考えると本当に辛いですね。大切な人が涙を流していても、そばにいることさえ出来ないのですから……私の答え、杏寿郎君は怒りますか?」

「……いや、俺も同じようなものだ。だが君にそう言われたとしたら、君が命を落とす前に駆け付ける。何があろうと逝かせはしない。辛い思いなどさせない。きっと栗花落少女も今の俺と同じ気持ちなのだろうな。だからこそ、更紗のとんでもない案を採用したに違いない」

穏やかな声音ながらそれを必ず成し遂げる響きのこもった杏寿郎の言葉に、更紗の胸の内がふわりと温かなものに包まれていった。
それと共に、ここへ落とされる際に姿の見えなかったカナヲに思いを馳せる。

「では杏寿郎君が駆け付けて下さるまで、私は是が非でも命を守る所存です。杏寿郎君に涙なんて流させたくないので!……ここに落とされる時はカナヲさんの姿は確認出来ませんでしたが、きっとしのぶさんのそばにいらっしゃいますね。私がカナヲさんの立場なら、手足がもげようと杏寿郎君の側に張り付いていますので!」

真剣な表情なので冗談で言っていないだろう。
数日前、不安げな顔で永遠と杏寿郎の後を着いてきていた前科もある、言葉通りのことを実行するに違いない。
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