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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第22章 開戦と分断


「そう……でしたか。すみません、話そうかと何度も思ったのですが……その」

「いや、俺にも言えない事情があったんだろう?例えば……お館様から他の柱には話さないでほしいと願われては破る訳にもいかんからな。だが、ここまで来たからには話してもらう。何があったのか、今から何が起ころうとしているのかを」

そう言葉を紡ぐ杏寿郎の表情には既に先ほどまでの憂いはなく、ただ真っ直ぐ前を見据え、この先何をしなければならないのかを思案しているように見える。

「そこまで当てられてしまうと、自分の精神的な未熟さが露呈して情けない限りですね。かしこまりました、お話し致します」

産屋敷邸がすぐそこに迫っている今、隠し通したところでもう意味を成さない。
更紗は5日前に何があり、今から何が起ころうとしているのかを正直に話した。その間、何度か杏寿郎の様子を伺っていたが、僅かに目を細めただけで動揺や焦りは感じ取れなかった。

「ただ、私もお館様が鬼舞辻に何をしようとしているのか……どのようにまたとない機会を好機に変えようとしていらっしゃるのか、そこまでは分からないのです。お館様は攻撃手段をもっておられまんせから……」

それに加えお館様は起き上がることさえ困難なほどに病状が悪化しているのだ。
力にものを言わせて足止めなど出来るはずもない。
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