• テキストサイズ

月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第21章 秘密と葛藤


昨日は落ち込んでいたものの瞳に涙すら浮かべていなかったが、本来の更紗が戻ったからか、今にも零れ落ちそうなほどに涙が目に溜まっている。

「そんな事だろうと思った。更紗の姿を見て心配するのと、姿が見えず肝を冷やして心配するのとは訳が違うんだ。約束できるな?」

涙が零れないよう瞬きを控えていたが、それにも限界があり……ゆっくりと瞼を閉じて頬に一筋の涙を流しながら、杏寿郎の羽織の裾をきゅっと握りしめた。

「はい。お約束……します」

「うむ。それにしても昨日の更紗はひよこのようで愛らしかったな!君の落ち込む姿を見るのは胸が痛むのだが、俺の後をついて回る姿はなんとも言えぬ破壊力だった!何でも願いを叶えてやりたくなってしまう」

流れた涙をそっと拭ってやり、流さないと決めた涙がしのぶやカナヲに見えないよう後頭部に手を当てて胸元へと優しく誘うと、ほんの少し恥ずかしげに身をよじらせた。

「ひよこ……でもなんでも、ご迷惑の中に少しでも杏寿郎君を楽しませられることがあって……良かった?と思います」

杏寿郎を見上げる更紗の表情はとても穏やかで、とてもじゃないが先の闘いで何かを起こそうとしているようには……杏寿郎にも思えなかった。
/ 1883ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp