第21章 秘密と葛藤
2人が密談をしてるとはつゆ知らず、拗らせ更紗はカナヲの捜索を数分行った末、意外にもすんなり目的の人物を見つけ出すことが出来た。
「カナヲさん!お久しぶり……です?!どうされたのですか?!目が……」
人のことを心配している場合ではないが、自分の感情などどこかへ吹き飛んでしまうほどカナヲの表情……もだが、目が赤くなり瞼が腫れていたのだ。
「更紗ちゃん……何でもない……ことはないんだけど、ちょっと色々あって」
4日後に決戦を控えているからか、剣士たちにも様々な事情から動きが出始めているようだ。
その1人であるカナヲはどうにか笑顔を作ってはいるものの、どう見ても何でもないことはないし、更紗から見ても痛々しかった。
「少し……私とお話ししませんか?抱えている何かについでではなくても、他愛のないお話しをすれば気を紛らわすことが出来るかもしれませんし」
あまり誰かと話す気分ではなかったのか少し悩む素振りを見せつつ、カナヲは辛うじて頷き更紗の提案を受け入れた。
「うん。じゃあ、そこに座って少し……誰とも話す元気なかったんだけど、本当は誰かに聞いてもらいたかったのかも」