第21章 秘密と葛藤
「私は紫炎が最も体に適しているようなので、紫炎の柱になりました。炎の呼吸の派生です。ただ、私の呼吸は特殊らしく後継を見つけることは……出来ませんよね?」
優しい笑顔で自分たちのやり取りを見守ってくれている杏寿郎へ視線を向けると、途端に溌剌とした笑顔……目をバチッと開いた笑顔で答えられた。
「無理だな!紫炎は君の治癒能力があってこそ成り立っている!後にも先にも紫炎を使うのは更紗だけだ!継子を迎え次の柱を育てることは可能なのだが、今の状況だとそれも難しい!」
ご最もです。
今は柱全員で剣士たちを継子のように扱い、稽古をつけ質の向上に務めているのだ。
新たに継子を迎えたとしても互いに多忙を極めているので、それどころではない。
「継子だなんて……私にはまだまだ早いです!むしろ私が成長しなくてはいけませんので!」
「そうか?だが継子希望者がいれば受け入れ育てることも柱の責務なので、その時が来れば迎え入れなくてはならないぞ!心の準備はしておくように!」
自分が今朝まで継子だったので気持ちの切り替えが難しいのだろう。
戸惑うように眉はハの字になるが、柱の責務と言われては頷くしかに残された道はない。