第21章 秘密と葛藤
3人はポカンとした後一斉に笑顔となり、天元に至っては吹き出してしまった。
「んなことされられねぇだろォ。お前が柱になった事は今日全ての隊士に伝えられんだぞ?お前が飯作りに来たら、俺らが新しい柱をパシらせてるみてぇになるだろ」
今度はがポカンとする番となった。
こんな優しい人たちを前に、そんな考えに至る人がいるのが理解できないようだ。
「適材適所だと思ったのですが……杏寿郎君!私がお家でご飯を作るのは問題ありませんよね?!杏寿郎君が私に無理矢理作らせているなんて思われませんよね?!」
自分の家で食事を作っただけでそう思う者がいるとは思えないが、更紗にとって杏寿郎が良からぬ噂を立てられるのは耐えられないのだ。
相変わらず必死な更紗に杏寿郎は恵比寿顔となり、2人が目の前にいるにも関わらず肩を抱き寄せた。
「心配ない!俺も一緒に作れば大丈夫だ!更紗が剣士たちの分も食事を作りたいのなら一緒に作ろう!そうすれば俺が君をこき使っていると思う者も出ないだろう」
「え?!稽古でお疲れなのに大丈夫なのですか?杏寿郎君と一緒に食事を作れるのは嬉しいですが、あまりご無理はなさらないで下さいね?」