第20章 柱稽古とお館様
更紗のそんな素朴な質問に答えてくれたのはしのぶだった。
「私は共に任務についたことはありませんが、やはり柱に登り詰めるほどですから強かったですよ。痣が発現しているので現状では煉獄さんの方が強いですが、それでも当時は柱の中でも上位を誇る強さだったはずです」
例え今は口元をムニムニさせていると言えど、精悍な体つきから強かったのだと言われれば納得せざるを得ない。
「そうでしたか!ではお館様の護衛を願うにはうってつけの方ですね。……すみません、お話しの腰を折ってしまいました」
ペコと頭を下げる更紗の肩を杏寿郎が軽くポンと叩く。
「いや、父上の当時の実力を知らない者もいたので話せてちょうど良かった。さて、上弦の鬼と会敵した時だが、各個撃破は厳しいと予測される。可能な限り柱数人で相手取ることが望ましいが……」
今まで倒した上弦の鬼はいずれも、複数人でようやく倒せたほどの力量を持ち合わせていた。
しかも残っている上弦の鬼は今までの者より格上……上弦の壱から参が存命しているのだ。
それに加え欠けた人員を補充されている可能性も考えられる。
「こっちの予定通りに進むなんて、よっぽど運が良くなかったら難しいですよね。でも更紗ちゃんには最低1人柱は付けておきたい。万が一1人で上弦の鬼と出くわして……負けちゃったら大変なことになるし。だからと言って貴重な戦力を削ぐわけにもいかないからね」