第18章 閑話休題
それはこの場にいる者は紗那が感じとっている何かを知っているのだと確信している目だった。
「私は確かに槇寿郎さんや千寿郎さん、宇髄さんに失礼を働きました。ですが、以前は娘と会うだけで驚くほど厳戒態勢を取られていたのに、今回はその様子がなく不思議に思ったのです。それに加え突然の招待……こうしなければ後悔するのではと感じ、この場を設けていただきました」
皆を順に巡っていた視線が更紗で止まる。
「話してちょうだい、事によってはお母さんはあなたの首に縄をかけてでも連れ帰る覚悟でここまで来たのよ。泣いても喚いても、誰に止められようと…… 更紗に嫌われてもね」
そう言った紗那の瞳は強い光を宿しており、説明を失敗すれば言葉にしたことを間違いなく実行すると物語っていた。
「更紗、君の言葉できちんとこれからの事をご両親にお話ししなさい。前にも言ったが、鬼殺隊に属することを許してくれていただけでも凄いことなのだ。先のことに反対されても、それは当たり前の反応なのだから」
「はい……杏寿郎君がお父さんとお母さんに声をかけてくださったのは……あの……」
槇寿郎に促され本来伝えようと思っていた事を口にしようとするが、内容を伝えれば連れ帰られるかもしれないと思うと、どうしても言い淀んでしまう。