第4章 鍛錬と最終選別
(あーぁ、マジで切れてやがる。姫さんビックリしてんぞー)
今の杏寿郎にはもちろん更紗の表情を見ている余裕もない。
「貴様のような奴らがいるから、更紗みたいに悲しんで苦しんで耐え忍ぶ人が減らんのだ!」
「何言ってんだよ?!いってー!!」
「貴様に3つの選択肢を与える。1つ、抵抗を続け両肩の関節を外される。2つ、関節を外されて警官に引き渡される。3つ、諦めて右肩の関節を外される。早く選べ」
(関節外すのは決定か!!いいな、派手で!!)
1人だけ表情をパッと明るくして杏寿郎を見ているが、足は関節を外した男をグリグリと踏み付けている。
「どれも変わんねぇじゃねぇかよ!!」
尚も抵抗するので、杏寿郎はふぅとため息をついて黒い笑顔になって男の耳元で呟いた。
「答えは1だな、よく分かった!」
杏寿郎は素早く男の握っている腕を背中にまわし、ゴキュッと……体勢を崩した男の反対の腕も、流れ作業のように掴み背中へひねり上げ、ゴキュッと……
「二度と2人に近づくな、俺が見つけた時、貴様の頭と体が仲違いすると思っておけ」
その言葉と本気の殺気を感じ取り、男達は痛む肩を庇うように店から転がり出て行った。