第18章 閑話休題
大業を成し遂げた2日後、更紗はようやく目を覚ました。
あの後すぐに禰豆子の血鬼術で体内の毒を焼き払ってもらったが、鬼との戦闘で通常ならば命を失うほどの体の損傷を強制的に治し、動き続けていたのが災いしたらしい。
「ここは……お家ではなさそうですが……何やら見覚えがあるような」
こうして目覚めたものの2日間眠り続けていたので、現在の状況が全く分からずにいる。
部屋を見回しても誰もおらず、別の部屋から賑やかな声が響いているので近くに人はいるようだ。
「お部屋……出てもいいのでしょうか?……どなたかにお会いしたい」
少し悩んだ末、更紗は布団から抜け出してソロソロと廊下へと続いているであろう障子へと近付き、コソッと外の様子を伺ってみる。
当然だが人の気配がなかったので、廊下には誰もいない。
「人様のお家を勝手に歩き回るのは気が引けますが……ん?ここってもしかして」
廊下へ足を踏み出しクルリと見回したかと思うと更紗は突如廊下を走り出し、曲がり角に差し掛かったところで誰かの腕に抱えあげられた。
「こらこら……病み上がりの体でどこに行くつもりだ?」
「な!起きてただろ?にしても相変わらず体張ってんのね、姫さん!」