第52章 今も、昔も
救急車付近には人が多く集まっていた。
「!!」
「カナエ…」
「あなたったら、またこんな無茶をして…!!!」
担架に乗せられた私にカナエは涙を流した。
「あの…一つ、伝言を…」
「何?なんでも言って!!」
「…今回の、もろもろの責任は、全てこの口座にあると、学園長に……」
「…え?ここでお金の話になるの?」
ここにくるまでの間に私が実弥に書かせたメモを見てギョッとしていた。ははっ。実弥に書いてもらった時も同じ反応されたなあ。
「頼ん…ガフッ」
「きゃーーー!!」
カナエが叫び声をあげる。
口から血の塊を吐き出してしまった。
「すみませーん!離れてくださーい!」
「ほら君のことだよ、離れようね」
「いやです!!」
無一郎くんは担架にしがみつく勢いで動かなかった。
「だめよ、この子を殺す気?」
「離れろ、カス小僧」
そんな無一郎くんを私から引き離したのはなんと、桜くんと天晴先輩だった。
「みんな、あまり雰囲気ないからわかっていないのかもしれないけどもう一刻の猶予もないから大人しくさんを見送ろうね。」
その後ろには松葉杖をつく春風さんが。
……みんな。どうしてここにいるんだろーーー…とかなんとか、考えているうちに私は目を閉じた。
あたりはまだ騒がしかったけれど、ホッとしてしまって今すぐにでも眠りたかったのだ。