第26章 雨は太陽と共に
お腹も膨らんだところで私たちは立ち上がった。
「じゃ。行かなきゃだね。」
「はい!」
陽明くんと気合を入れて拳を合わせた。
私たちはキメツ学園へ向かった。まず、最大の難点。
「私は学園の関係者じゃないんですけど!」
「大丈夫です!…俺が、あと一歩のところで遅刻した時。校門が閉められた時の最終手段が…!」
陽明くんが言うので、私はあっと声を出した。
「「駐輪場の破れたフェンス!!」」
声がハモる。私たちはふっと吹き出した。
「あのフェンスまだ破れてるんだ?校門が閉まった後もあそこからこっそり入ってダッシュすれば間に合うもんね!」
「はい!俺はしょっちゅう使ってますよ!」
「確かに、あそこから入ればバレないよね。」
私たちはいとも容易く駐輪場から侵入した。
「…これ、ワンチャン私警察送りだよ……」
「大丈夫でしょ。鬼より怖いものがある?」
「ないね。」
また私たちはふっと吹き出した。
「俺には未来が見えている。だから今日ここに無惨がいることがわかります。」
「…学園長に会いにきたってこと?」
「霧雨さんがいなくなったことで無惨はそれが産屋敷によるものだと思い込んだ。だから、躊躇うことなく狙うだろうね。」
「けど、学園長をどう揺するの?学園を廃校にしたいならなおさら。殺すこともできないじゃない。」
陽明くんが先に歩き出すので、私は慌ててその背中を追いかけた。
「何か持ってるんでしょうね。産屋敷を揺すれるほどの何かを。」
「…それ、陽明くんわかるの?」
「はい。わかりますよ。でも、産屋敷の悪い噂聞きたいです?」
「えっ?悪い噂??」
そんなことを言われてドキッとした。
「まあそんなもんないけど。」
「ないんですか。」
「うん。だってこれから無惨が捏造するんですから。」
陽明くんはさらりととんでもないことを言った。
「叩いても何も出ないから強制的に何か作り上げるみたいですね。それも、かなり入念に。無惨が産屋敷を揺すったらもう止められないでしょう。」
「!じゃあ急がなきゃだ!!」
「そう言うこと!」
私と陽明くんはコソコソしながらも、校舎に侵入した。